先日、密かに個体識別をして観察しているキツネのグルメ(参照記事:グルメ)が大きなフライドチキンを加えて歩いていた。
どうやら、どこかで拾ったらしい。
グルメの周りには食べ残しや、あわよくば奪い取ろうとするワタリガラスが数羽集まり熱い視線を集めていた。キツネたちは、人間のようにご近所付き合いを大切にして御裾分けをしたり、お土産を持ち届けたりはしない。
仮に、カラスへ「はい、カラスさん。お土産ですよ。」と見つけ出したハンバーガーを渡した日には、たちまち今後のカツアゲの標的になってしまうだろう。
中には、クマのように他人が見つけた餌を横取りできる強い動物たちもいるが、基本は自分で得る。どんなに疲れていても、寒くても、餌探しは彼らにとって日課である。まさに「働かざるもの食うべからず」といったところか。動物の世界には、コンビニもファーストフード店もないので、大変である。
ただ、グルメのように人間の環境に適応しすぎて、人から餌をねだるような個体も存在する。
人を見つけると近づいていき、潤々した可愛い瞳で見つめ、人から食べ物をねだって生活している。愛くるしい彼らの眼差しに、ついつい餌を与えてしまう人もいるようだ。あまりにも人慣れした彼らは、人を怖がらず、車を見つけると飛び出して行き、結果、多くの個体が交通事故で命を落とたり、人間の高塩分な食べ物は、抜け毛に繋り、疥癬という皮膚病を促進させてしまったりする。
また、餌付けを通して、彼らを媒介としたエキノコックスや細菌感染の危険が増えるため、餌付け問題は、日本や北米でもメディアによく取り上げあげているようだ。
野生動物と人間との距離感は、今後も考えていかなくてはならない課題の一つだろう。