自然の摂理

 山を散策中に、小川を挟んだ対岸にオオルリの巣を偶然見つけ,雛の成長を見に足繁く通いました。暗く鬱蒼とした川沿いの岩の間に、苔を集めて作られた小さな巣があり、見つけた当初は抱卵中でしたが、雛が孵ると、糞や餌運びのために忙しそうに飛び回っていました。
雛達は、普段は静かにじっとしていますが、親が来ると口を大きく開けて餌を求めます。大きな声で鳴いて精一杯自分の空腹を伝える姿は、人間の赤ちゃんがミルクをせがむ時と同様に生命の力強さを感じますね。

 そんな元気いっぱいの4羽の雛達も、日に日にどんどんと大きくなり、巣立ちまであと数日といったところでしょうか。
その日も、変わらずに忙しそうに飛び回っていた親鳥でしたが、突然けたたましい鳴き声が聞こえ、慌てて望遠レンズで覗いてみると、そこには体長1.5mはあろうかというアオダイショウが巣にじりじりと近づいていました。
親鳥の決死の威嚇も、アオダイショウの進行を止める決定打にはならず、アオダイショウはふてぶてしく巣の横で食事を始め、ものの数分で4匹の雛を全て飲み込んでしまいました。


 アオダイショウに巣は破壊され、目の前で子供を奪われてしまった2羽の親鳥は、しばらくして何処かへ飛んで行き、数分後に、2羽とも餌を咥えて戻ってきました。その光景はいたたまれず、心が痛みます。

 しかし、ヘビにはヘビ側の生活があり、雛の捕食は彼らの日常的な採餌戦略の一つでもあります。どちから一方の立場だけ尊重するわけにもいきません。自然の摂理を目の当たりにし、命のつながりについて再度考えるいい機会となりました。

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